デ・ラランデ邸   

  デ・ラランデ邸は新宿区信濃町に所在した木造3階建ての西洋館です。JRの車窓越にもその姿を望むことのできた西洋館として、永く信濃町のランドマークでしたが、平成11年に江戸東京たてもの園により解体され、平成25年に移築復原を終え、現在一般公開されています。
 本建物はカルピスの発明で有名な三島海雲氏が昭和31年に取得し、解体前は三島食品工業の本社兼販売所として利用されていたもので、明治時代の建築家、デ・ラランデの自邸としても知られています。
  デ・ラランデは、明治30年代後半に来日したドイツ人建築家。重要文化財にも指定されている、神戸の旧トーマス邸(風見鶏の家)の設計者でもあります。来日後、明治42年に本建物を自宅兼事務所とし、大正3年に急逝するまで活動の拠点としていました。調査により、本建物は理学博士・北尾次郎氏が建築した木造平屋建ての洋館を前身建物とし、これを基に木造3階建てへの改築をデ・ラランデが設計したものと考えられます。  
 復原時期は、デ・ラランデが居住し、建物の特徴が最も現われている明治末期から大正時代初期の頃としました。また、バリアフリーへの対応や、活用のために復原棟の北側にトイレ・厨房機能を設けた厨房棟(RC造平屋建て)と昇降設備を設けたEV棟(カーテンウォール鉄骨造3階建て)を新設しました。これら別棟は、復原棟と差別化できるようなデザイン・材料を採用しました。


 建物正面。写真左端が玄関部分。
屋根はフランス瓦葺き。外壁は1階を下見板張り(油性ペンキ塗装・白)2階の白色部分は漆喰ですが、外壁補修で亜鉛鉄板に油性ペンキ塗装を施したものを表面に取り付けています。赤い部分は
スレートの鱗張りに塗装を施したものです。
 旧玄関の外観。テラス状になっており、内部は下写真の旧玄関ホールです。 
 旧玄関ホール。石膏製のアモール像が天井の照明飾り。壁と天井の見切り部分の蛇腹も石膏製です。
 旧食堂内部。解体前は事務室として使用していたため、蛍光灯が取り付けられていました。彫刻格天井は石膏製。
この部屋の小壁には石膏レリーフが埋め込まれています。
   
 

 赤色に塗られたスレート葺きの腰折れ屋根と、白色に塗られた下見板張りの外壁が特徴的で、ベイウィンドウ、バルコニー、窓先棚などが外観意匠にアクセントを与えています。

 
   

江戸東京たてもの園
【所在地】〒184-0005 東京都小金井市桜町3-7-1(都立小金井公園内)
【ホームページアドレス】  http://tatemonoen.jp/